透明水彩ステイン

女貞子(ニョテイシ)


女貞子は、ニョテイシ、と読みます。

私の大好きな、愛すべき生薬の一つです。

更年期障害に悩む女性たちの、一つの解決策を提示してくれる生薬の一つだと思っています。 

この生薬はネズミモチという植物の実で、こんなに薬効があるのに、庭の植物としては、あまり人気もなく、垣根にしても特に映えない地味な中低木なんです。いつも、姿は地味なのにすごいやつだね、と見かけるたびに思います。薬効を調べると、滋養強壮とだけ書かれていてよくわかりませんが、これは、実は、更年期ののぼせの特効薬なのです。単味(一つの生薬)で使っても効果があるので、更年期の女性たちの大きな味方です。


 更年期ののぼせ症状は、厄介です。最終的に、何も効かなければエストロゲンの外用・内服などが治療となりますが、そこは最終手段です。まずは、漢方薬をうまく使うことによってなんとか更年期を乗り切ろうと考えたいところです。


 加味逍遙散・加味帰脾湯・温清飲・黄連解毒湯・桂枝茯苓丸・女神散など・・・

たくさんのぼせを取る処方はあるように思います。しかし、更年期は数年にわたって付き合うことが多いので、この中で、長い期間ずっと飲んでいこうとすると問題点があります。それは、エキス剤におけるのぼせの処方は、のぼせを冷ますことでしか解決しないことが多いことです。黄連・黄芩などの清熱解毒剤は、確かに熱が出そうなひどいのぼせは冷ましてくれます。しかし、更年期ののぼせは、冷えのぼせである場合も多く、またのぼせるけれども普段は冷えている人も多くいます。

そのため、冷やす生薬の入った処方をおいそれと使えない場合も多くあります。その中、女貞子は、体を冷やすことなく、中の熱だけとってくれる優れものなのです。体を冷やさずに熱だけとり、そして、陰虚という更年期にありがちなうるおいが不足する事態に対してうるおいまで与えてくれるため、愛さずにはいられません。今までは、ネズミモチの種子を砕いて殻をとり、種子成分だけを飲んでいただくように処方していたのですが、エキス剤があることを知り、エキス剤も同様の効果があることがわかったため、最近はエキス剤を処方しています。 


 更年期は、ホルモンバランスの変化に体が慣れていくまでの長いプロセスを受け入れ、付き合うことが一番大事だと思います。

 味方になってくれる生薬があることは、心強いことです。 



花  トウネズミモチ(左)、ネズミモチ(右)

果実 トウネズミモチ(左)、ネズミモチ(右)